アキの、はちみつバターホットケーキの顔。
絵文字たくさんの、派手なメール。イチゴのブログ。
お母さんのおせっかい。
洗濯物の、むだなシワ伸ばし。
お父さんの、大音量エンジン音。
ばかみたいに、いとおしくて、泣けてきた。
わたし、だれかのことを考えて、泣けるんだって、思った。
だれかのために怒って、戦って、笑って、泣ける自分が、わたしは好きだった。前よりもずっと、好きだった。
自分自身のことを、好きでいられる。
そんなわたしは、きっと、だれかを、好きになれる。
愛することができる。
・・・・・・きっと。
「・・・アキからだ」
ポケットの携帯に、メールの着信が入った。
うすあかりの中にともった、元気な光。
「なんて?」
「うん。夏休み、また花火したいねって」
文字の最後に、ピカピカと、花火の絵文字が光っている。
ちゃんと、返信しようと思った。帰ったら、今までごめんって、電話しよう。たくさん、ちゃんと話そう。アキの言葉を、聞こう。
試合の応援にも、行こう。
アキに負けない大声で、応援しよう。