本題はそっちのけで、お母さんは、久しぶりにお母さんらしく、わたしを怒った。

それからというもの、先生が帰ってからもずっと、お母さんの頭にはするどいツノが見えていた。

くそばばあ、じゃなくて、オニババア。

これはいよいよ、本当に本気で、夏休みの宿題にとりかからなければいけない。

お母さんが吹き散らす火で、海の約束が燃えてしまわないように。


日曜日の朝。

わたしは、久々に制服を着て、学校へ向かった。

何日かぶりの、制服。

このプリーツスカートの微妙な丈が、ソワソワする。

私服のパンツは、ショートパンツかジーンズだけ。だから、この中途半端な丈は、学校ならでは。

わたしに着られる制服も、緊張しているようだった。

足にはめこむ、学校指定の、運動靴も。わたしを連れて行く場所が、本当に学校でいいのか、迷っているよう。


でも外は、よく晴れていて。

制服に、雨独特のいやなニオイはなくて。だから、ためらわずに、歩くことができた。