お母さんもウソつき。言葉だけの、大ウソつき。
わたしなんか、いないほうがいいくせに。
やっかい払いしようとしているくせに。
どうしてこの世界ではみんな、表と裏を、持っているの。
「~やめてよっ!!」
床に転がったリモコンを、蹴り上げていた。
お母さんの体がすくむ。非難の目線が、わたしに向けられる。
「わかったようなこと言わないでよ!!」
「八子・・・っ」
「わたしのこと知ろうともしないくせに!出て行け!!出てってよ!!」
枕を投げつける。ボスッと、にぶい音がひびく。
手当たり次第にモノを投げようとしたけれど、片づけたせいで、手をのばしても、なにも拾えない。
「出てって!!なんにもわかってないくせに!!」
「~じゃあなんて言えばいいのよ!?」
わたしの叫びと、同じボリュームの声が飛ぶ。
お母さんも、ブチ切れていた。
「なんて言ってほしいの?なにを考えてるの?わからないわよ、だって教えてくれないんだものっ!!」