夕飯時。
三橋家の夕飯時とは、だいたい、午後七時をさす。
わたしの塾がある日以外は、家族三人、そろって食べる。お父さんの仕事が長引くことはめったにないから、ダイニングテーブルには、いつも三人。
今日も七時に、お母さんから呼び声がかかった。
一階のリビングに下りていき、決まったイスに座る。
今日のメニューは、オムライスもどき。肉じゃがの上に、うす焼きたまごとケチャップをのせた、一見オムライスにみえる不思議な料理だ。
考え出したのはお母さんで、食卓によく出てくるから、洋風っぽくてオシャレだと気に入っているのかもしれない。
でも正直、にくじゃがはにくじゃが、オムライスはオムライスでいい。
そんな口答えをしたら、「じゃあ自分で作りなさい」って言われるのは目にみえているから、わたしは毎回黙っている。
…っていうか、今は、ほとんど話もしないのだけれど。
いただきます、を言うこともなく、お味噌汁の豆腐をすくい上げる。
わたしが登校拒否を開始した日から、お母さんともお父さんとも、ほとんど話していない。