ズリリ、と、靴底が地面にふれて、まさつの音がした。
わたしも一緒だ 。
嶋田さんの仕返しがこわいのはもちろんあるけれど、心のなかで「ばかみたい」って思いながらヘラヘラ笑うために、学校に行くのは、つかれた。そんな自分が、嫌いだった。
わたしも運動靴、はけないや。
「ヒマだね、わたしたち」
「よっ、ヒマ人」
「アンタもだよ」
「ははっ、だなぁ」
田岡の笑い声が、暗闇にひびく。
わたしも、笑って。
ふたりとも笑ってから、声が、やんで。
「・・・・・・おれ、さ」
「・・・うん」
しずかになったところに、緊張した声 が、聞こえて。
その顔からすこしずつ、笑顔が引いていって、だんだん、真剣な顔になって。
「・・・おれ、」
「・・・・・・うん」
そして、田岡は、言った。
「・・・おれ、さ。菜落のこと、好きなんだ」