「三橋、今、学校行ってないって?」
ブランコを軽くこぎながら、田岡はわたしに聞いた。
わたしも、マネをして、こぐ。微妙にそろわないタイミングで、二組の足が伸びたり縮んだり、する。
「・・・うん」
「おれも行ってないんだけどな。やばいな、夏なのに色白んなるな、おれら」
「はは・・・だね」
・・・そうか。田岡も、行ってないのか。そっか。
自分の手を見る。暗いから、白いか黒いかはわからない。
前にもあった。こんなこと。
そうだ、と思い出す。アキの、スミトモくんとのアイスブログをみたとき。
男子と女子の手は、作りがすこしちがうんだなぁって、そんなことを思ったんだった 。
「・・・学校、行ってさ。そしたらたぶん、嶋田に謝らなきゃいけねーんだよな。おまえのクラスのやつにも、笑いかけなきゃいけねーんだよな」
わかってるんだ、と、田岡は続けた。
「たぶん、きっと、できると思うんだ。でも、そうしてしまったら、きっとおれ、自分のこと、嫌いんなる」
「・・・・・・」
「そう思ったら、朝、靴。はけなかった」