チクタクチクタク。時計が刻む音が、今日だけ、なぜかとても大きく聞こえる。 時間が進むのが、とても遅い。 カバンのなかには、塾のテキストのほかに、携帯。 携帯には、田岡からのメールが、入っている。 『終わったら、花火した公園で』 胸のなかにふわふわしたイキモノを飼っているかのように、ソワソワする。 座っているのに、浮いているみたい。 プリントの、数字の8を見ているのに、異国の古代記号みたい。 話をする約束をしているだけなのに。 塾の時間中、死刑宣告を、 待っているみたいな気持ちだった。