(6)


後悔先に立たず。

いつ、習った言葉なんだろう。
いつ、できた言葉なんだろう。

あのときこうすれば、しなければ。そうやって考えても、なんの役にもたたないってこと。

昔のひとが作った言葉を、今を生きるわたしたちは、しょうこりもなくたどるんだ。


やめろって声は聞こえているのに、振り返らなくて

急な山道を、わたしはのぼってしまって

ゴロゴロと、うなるような音がして

自分の何倍もの岩が、 すごい勢いで転がってきたとして

それは、後悔先に立たず、で

わたしには、ぺちゃんこにされるという選択肢しか、のこっていないわけで。


そのあとの選択肢は、もう選べない。選べないけれど、もしわたしが決められるなら。

だれにも見つからずに、スルメみたいに干からびて、腐って、土になりたい。

そのうえに、花なんて、咲かなくていい。