わたしはとうとう、ブチ切れてしまった。
気がついたら、イスと机をなぎ倒して、嶋田さんをつきとばして、そのおどろき顔にむかって、油性ペンを突き立てていた。
なんで油性ペンかって、たぶんそのへんに転がっていたから。
ナイフじゃなくて、よかった。じゃないとわたしは、犯罪者になっていたかもしれないから。
止まらなかった。こんな自分は知らなかった。けれど、わたしにとっては、目の前の嶋田さんの存在こそが、ナイフだった。
やりきれなかった。わたしたちを傷つけるナイフを、こわしてしまいたかった。
ふつふつ、弱火で煮詰められていた怒りが、一気に沸騰して、ドッシャァーと、ふきこぼれてしまったかのように。
わたしはとにかくブチ切れてしまっていて、息あらく、嶋田さんにこう言った。
「じゃあおまえが死ねよ」
振りかざした、油性ペン。
まっぷたつに、嶋田さんの顔を割った、新鮮な黒い線。
「死ねよ・・・っ!!」