「相沢くん、着替え終わりましたか?」


「ん、もうちょい……」


カーテン越しに声をかけると、相沢くんのそんな声が返ってきた。


後ろのチャックが締まらないみたいでちょっともたついてるらしい。


ぼんやり待ってるのもあれなので、他のメイド服でも見てようと思った時、目の前の洋服屋さんに同い年ぐらいのカップルが入っていくのが見えた。


仲が良さそうに笑い合いながら、楽しそうにしている姿が微笑ましい。


ふと思ったけど、私たちも周りから見たらデートしてるカップルみたいに見えるのでしょうか!?


……それはないな。
そんな雰囲気があるわけでもないし、なんてったってメイド服を買いに来るカップルなんてどこにもいないし。



「……桜さん、着替えたよ」


「は、はい!」


そんなことを考えているうちに、相沢くんの着替えが終わったらしい。


「じゃあ、開けますよ〜?」


声をかけてからそっとカーテンを開けると――。