授業はさぼってばっかりで、教室にいる時間なんてそんなにない。


そのうえ、クラスで目立つようなタイプじゃない私なんかの名前を、この人は覚えてくれていた。


「あ、あ、ありがとう……ございます……」


少しばかりこの人のことを見直して、私なりに精一杯の感謝を伝えた。


なのに、相沢くんは何故か呆れ返ったような表情で私を見下ろす。


「……どうせ、また無理矢理頼まれたんだろ。

いい加減、はっきり物言うこと覚えたら？」



……え？



は、いや、あの……え？


あまりに突然のお説教にも聞こえる言葉に、私はその場で固まってしまった。


どういたしましてとか、そういう言葉が返ってくるかと思いきや。


どうしてため息つかれてるんだ、私？