翌日の数学の時間。
「桜、相沢呼びに行ってこい」
出席をとり、相沢くんがまたいないことに気付いた先生は、パッと目の合った私に向かってそう言った。
「へっ……!? あ、あの、私……ですか?」
突然指名されてびっくりした私は、思わず飛び跳ねるように立ち上がる。
「真面目なお前なら、きちんと相沢を連れてきてくれそうだからな」
「え……でも……」
「じゃあ頼むな」
「ええっ……」
私のことなんて構うことなく、先生は授業を始めてしまう。
仕方がないので、私はそそくさと教室を出て、相沢くんを探すことにした。
何で私が……。
ため息をつきながら、私は適当に有名なサボりスポットを巡る。
面倒だな、とは思うけど、数学はあんまり好きじゃないから、少しの間だけでも授業を抜けれたのはよかった。
それにしても、相沢くんはどこにいるんだろう……。
一通りサボりスポットと呼ばれる場所には行ってみたけど、相沢くんはいなかった。
残るは、立ち入り禁止の屋上だけ。
学校の中で一番太陽に近い場所、今の季節には少し暑すぎる場所かもしれないけど、サボれそうなところはもうあそこしかないんだよね……。