……。
……?
……っ!?
それが、大好きな少女漫画でよく見た、“キス”というものだと理解するのに、そう時間はかからなかった。
「あ、ああっ、あ、相沢くんっ!!?」
びっくりしておでこを両手で押さえる私を見て、相沢くんが楽しそうに笑う。
「なっ、なな、なに、を……!」
真っ赤になって口をパクパクさせる私に、相沢くんはニヤニヤしながら言った。
「敬語は禁止っつったろ?今日はこれで勘弁してやるけど、次間違えたらもっとすげーお仕置きしてやるから」
すげーお仕置きってなんですか……!
最近思ったけど、相沢くんって意外とちょっぴり意地悪なところがある。気持ちを伝えてから尚更だ。おかげでドキドキさせられっぱなし。
まあ、でも……そんなところも好きだけど……。
「誰もいないし、しばらくこうしてようぜ」
「えっ……」
相沢くんは、ぎゅーっと私を抱きしめたままそんなことを言う。
「嫌?」と聞かれたから首を横に振ると、「じゃあ、いいじゃん」と言って、頭を撫でられた。
「次の曲に変わるまでのんびり待とうぜ」
「う、うん」
ドキドキドキドキ。
相変わらず早すぎる自分の鼓動と。
トクン、トクン。
落ち着いたリズムの相沢くんの鼓動。
目を閉じると、その心地良い音がよく聞こえた。
好きな人と、こうしていられる幸せな時間。
勇気を出して、伝えてよかった。
大好きです、相沢くん!