片付けと準備を終え、私と相沢くんはクラスに戻ってきた。
「いらっしゃいませー!チェンジ喫茶・リトルリバーへようこそー!」
女子が扮する執事さんと、男子が扮するメイドさんにお出迎えされた。
「え?え?」
目を丸くする私だけど、相沢くんは「おー、すげーな」なんてのんきに喜んでいる。
「桜さん、お客さん来た時、こんな感じで言えばいい?」
「へ?あ、はい、素晴らしいお出迎えでしたが……」
執事さん役の藤崎さんが満足気に笑う。
「お客さんが来る前に練習してたの!きっとみんな、桜さんみたいに驚いてくれるね!」
あ、練習してたのか……。すごい、みんな気合い入ってるなぁ。
「相沢、スカートめっちゃスースーするから覚悟しといたほうがいいぜ」
「ま、まじかよ……」
メイド役の男子が相沢くんに言うと、相沢くんはげっそりとした様子で項垂れた。
そうかと思えば、「そういえば」と、相沢くんは思い出したように顔をあげる。
「香波、お前は午前中どうすんの?」
「あ、アキちゃんと校内を回る予定です」
私たちのグループの当番は午後からなので、私はアキちゃんと一緒に他のクラスのところを回る約束をしているのです。
入学して3ヶ月経った頃は、一緒に回ってくれる友達なんてできっこないと思っていたのに!ああ、幸せです!
改めて感動していると、相沢くんは「これ」と食券のような紙を渡してきた。