放課後、どの教室にも夕陽が差し込む時間。


「わ、私たちのクラスは、だ、男子が、め、メイドさん、女子が執事さん、の、かっこうを、して……」


私は自分の教室で、明日の開会式でやるPRの練習をしていた。


他のみんなは、部活動のほうの準備に行ってたり、そういうのがない人は、明日に備えて早めに帰ってしまって、誰もいない。


「男女逆転の、ちぇ、チェンジ喫茶、り、リトルリバー、よ、よかったらぜひ、い、いらしてくださいっ……」


PRの言葉は全部覚えているのに、口からスムーズと出てこない。
練習でこんなだったら、本番みんなの前で喋るなんて絶対無理だ。


相沢くんの足を引っ張りたくなくて今まで自分の出来る範囲で頑張ってきたつもりだけど、さすがにこれは頑張ったってどうしようもない。
みんなの前に立つ機会なんて今までなかったのに、いきなり全校生徒の前でなんて……。


どうしよう、どうしよう。


そういえば、文実委員成り立ての頃、クラスの出し物を決める時も、教壇に立ったまま震えてたっけなぁ……。


そんなことを考えていると。


――ガラッ。