肝心の文実委員がほとんど留守にしていたというのに、みんなはサボるどころかしっかりと衣装作りに励んでいてくれた。


みんなの、文化祭を成功させようという気持ちがひしひしと伝わってきて、私は嬉しさのあまり思わず頬が緩んでしまう。


「じゃあ、メイド服はこんな感じで決まりね。執事のほうもさくっと作るよ!」


アキちゃんの指示でみんなが「はーい!」と元気良く拳を上に突き上げたけど、ガラリと家庭科室のドアが開き、家庭科担当の先生が入ってきた。


「申し訳ないんだけど、家庭科部の準備があってこれからここ使いたいんだけど……大丈夫かしら?」


「あ、はい!大丈夫です!」


そっか。家庭科部も文化祭の準備があるもんね。


ミシンはここにしかないから他の教室では衣装を作ることはできないし、時間も時間なので私たちは帰ることにした。


「みんなは先に帰っててください。私は、美術係の様子を見てから帰るので」


そう言ってアキちゃんたちと別れ、私は自分のクラスの教室へと戻る。


途中通る他のクラスもある程度教室の飾り付けなどがされていて、文化祭が近いんだっていうことを改めて実感した。