どこでそんな物騒な物を手に入れたのか。そんな疑問が千夏の中によぎる。
「光の次は俺を殺す気?」
「ふん…残念だったな。お前の行動は全てお見通しだ。千夏が拉致されたと聞いてからお前が犯人だということくらい見当はついていた。おとなしく千夏を返せ」
遥は両手を上げ、千夏に「行け」と言う。だが千夏はそれを断った。

「やだ。お父さんが自首してくれるまで、私家には帰りません!!」
「何!?」
千夏は遥にくっつく。
「お前…まさか千夏に話したのか」
「ああ、話したよ。あんたと違って隠し事は嫌いなんでね」
「お父さん、お願いだから自首して。してくれないなら…私が警察告発します。遥さんの妹さんをひき逃げし、その証拠も隠滅したって!」
「千夏…お前、この男を信じるのか!」
「信じます。少なくともあなたよりは、遥さんのほうがずっと信頼できます」
ゆるぎない千夏の思いが嬉しくて、遥は彼女を抱き寄せた。
たがそれを見た父は、狂ったように怒鳴り声を上げた。

「触るな!!美和の子供がどうなろうが、俺には関係ない!!俺の家族は千夏と美和だけだ!!」
「“美和”…?」
遥が“美和”という名に異様に反応した。
「千夏…お前の母親は“美和”っていうのか…?」
「そうだけど…それがどうかしたんですか…?」
遥の問いに、千夏は不思議そうな表情を浮かべて答えた。

「俺を捨てた母親も…“美和”だ」
「!!?」