弥生にはよく分からないが、そこは山の中腹ほどにある原っぱのような所だった。前方には草の広がる景色と、その先にはうっそうとした木が生い茂っていた。
「運転手さんはそこから動かないように。もし動いたら、すぐに発砲します」
山本は、分かったというふうに前を向いたまま左手をあげて合図した。
「ここは、富山県氷見の山奥。日本ではもう珍しく、ここは未だどこの携帯会社の電波も届かない場所なの。邪魔の入らない場所っていう意味ではベストな場所と言えるわね」
女は、車内を悠然と歩きながら、教師が生徒に教えるように言った。
「石塚達哉君」
弥生の身体がその声に大きく跳ね上がった。
「・・・あ?」
タツヤが女をにらむように答えた。
「ふふ、余裕ね。あなたが良太をいちばんいじめていたんですってね」
車内がざわめいた。それは、『自分じゃなかった』という安堵の声にも聞こえた。
___たしかに
と、弥生は思った。タツヤはいつも良太を執拗にいじめていた。それも、おちょくったりする程度ではなく何かの恨みがあるかのようにしつこく醜く・・・。
「運転手さんはそこから動かないように。もし動いたら、すぐに発砲します」
山本は、分かったというふうに前を向いたまま左手をあげて合図した。
「ここは、富山県氷見の山奥。日本ではもう珍しく、ここは未だどこの携帯会社の電波も届かない場所なの。邪魔の入らない場所っていう意味ではベストな場所と言えるわね」
女は、車内を悠然と歩きながら、教師が生徒に教えるように言った。
「石塚達哉君」
弥生の身体がその声に大きく跳ね上がった。
「・・・あ?」
タツヤが女をにらむように答えた。
「ふふ、余裕ね。あなたが良太をいちばんいじめていたんですってね」
車内がざわめいた。それは、『自分じゃなかった』という安堵の声にも聞こえた。
___たしかに
と、弥生は思った。タツヤはいつも良太を執拗にいじめていた。それも、おちょくったりする程度ではなく何かの恨みがあるかのようにしつこく醜く・・・。