「大丈夫、あなたじゃないから。たとえいじめていたにせよ、お葬式にまで来てくれたってことは少しは反省しているってことでしょう?許せないけれど、あなたは殺さないから安心しなさい」

___なんだよ、思わせぶり

「楽しんでるな」
タツヤが顔を下に向けて小さな声でつぶやいた。

 弥生は軽くうなずいて同意を示す。


「いちばんいじめていた生徒は誰か、まずは彼から処刑します。・・・あら、彼って言っちゃったわ」
片手で自分の口を押さえてわざとらしく驚いた顔をしてみせた。


___こいつ、狂ってる

 弥生は、自分の握り締めた両手に力が入るのを感じた。恐怖を味わわせて楽しんでいる、そう思うと顔から火が出るほど怒りが感情を支配した。

 ふいに車がガクンと揺れて停車した。

「あら。ついたようね」
前方の景色を確認して、女は言った。