「中沢麻紀子ってだぁれ?」
ふいに女の声が気の抜けたようなトーンになった。

 皆がいっせいに真ん中に座っている生徒を見やった。

 中沢は殺されると思ったのか、
「ひっ・・・」
と、しゃっくりみたいな声を出して、シートにのけぞった。

「あぁ、あなただったわね。中沢さん、あなただけよ、良太のお葬式に来てくれたのは」
女は目を細めると、中沢を見た。

 理解できないふうに中沢は唇を震わせて、女から目を離せずにいた。

「でもね。あなたもいじめてたじゃない?ノートに書いてたのよ、他の女子と一緒にあの子にお昼のパンを買いに行かせてたんですってね」

 
 弥生はタツヤをみやった。

 興奮して鼻息が荒い。もし、女が中沢を撃ったならすぐにでも飛び出してゆくつもりだろう。

「わ、私はっ・・・」
裏返った声の中沢が涙を流しながら声を絞り上げるのを見て、女は笑った。