まるで自分がやった事を忘れたかのような口調。

 この女は頭がおかしいのだろうか?


「でも、苦しんで苦しんで死んでゆくより、よっぽどラクだとは思うけどね」
そう言いながら、女はガイドの操作盤へと足を進めた。

 有線のボリュームを少し下げた時、女の顔から微笑が消えた。

 その変化は生徒たちにも伝わるほどのものだった。

「どうして・・・」

 女はさっきまでの余裕が嘘のように肩で息を荒くし出した。

 目は大きく見開かれ、そしてその表情はそのまま佳織へと向けられた。

「どうして!?」
叫んだ女が佳織に詰め掛けた。