「命令は1回しか言わないわ。撃たれたくなければすぐに実行しなさい」
女が佳織の方へ戻りながら生徒達に向かって言う。

「まずは窓側の生徒は窓のカーテンをすべて閉めなさい。後ろの席のもよ。ガイドさんは、前4列の窓を閉めなさい」

 生徒達は我先にと立ち上がってカーテンを閉めた。皮肉にも、こんなにも生徒が人の言う事を聞くのははじめてのことだろう。

 佳織も急いでカーテンを閉めると、元の場所に戻ろうとした。

「ガイドさん、次はあなたにお願いです。岩崎の死体を一番後ろの席に移動しなさい。このままじゃ気持ち悪いわ」

「・・・自分で撃ったくせに」
思わず本音が口からこぼれ、佳織は左手で口を覆った。

「勇敢ね。でも、それが今後は命取りになるかもよ」
女が銃口をもてあそぶように佳織へ向けた。