生徒達が移動するのには思ったよりも時間がかかった。
元々大きなバスではない上に設備だけは良いので、通路は狭いし動きにくい。すべての生徒が移動を終えるまでに10分以上もかかってしまったのだ。
今、バスの中は前の4列が空席となり、それ以降に生徒達が座っている。佳織の言ったとおり一番後ろの席は空けてあるようだ。
「ガイドさん~、なんでですか?」
「説明してくださいー」
生徒達の質問が佳織に向けられるが、佳織は何も答えらない。鳥岡も今度は生徒を怒鳴ることもせず、同じように佳織の方を眺めている。
「私せっかく前の席だったのにさ」
茶髪の生徒がカールした髪を指でいじくりながらぼやいている。
「あの・・・すみません」
なんで私が、と思いながらも佳織は謝るしかなかった。もう背中も汗でびっしょりだった。
その時だった。
ステップを上がる足音が聞こえたかと思うと、すぐ後ろに女の息を感じた。女は佳織を押しのけるように前に出ると、
「みなさん。こんにちは」
とサングラスをしたまま言った。
元々大きなバスではない上に設備だけは良いので、通路は狭いし動きにくい。すべての生徒が移動を終えるまでに10分以上もかかってしまったのだ。
今、バスの中は前の4列が空席となり、それ以降に生徒達が座っている。佳織の言ったとおり一番後ろの席は空けてあるようだ。
「ガイドさん~、なんでですか?」
「説明してくださいー」
生徒達の質問が佳織に向けられるが、佳織は何も答えらない。鳥岡も今度は生徒を怒鳴ることもせず、同じように佳織の方を眺めている。
「私せっかく前の席だったのにさ」
茶髪の生徒がカールした髪を指でいじくりながらぼやいている。
「あの・・・すみません」
なんで私が、と思いながらも佳織は謝るしかなかった。もう背中も汗でびっしょりだった。
その時だった。
ステップを上がる足音が聞こえたかと思うと、すぐ後ろに女の息を感じた。女は佳織を押しのけるように前に出ると、
「みなさん。こんにちは」
とサングラスをしたまま言った。