父は少しさみしそうな顔を見せたが、すぐに笑顔になって、
「しかし、良太君のご両親はよく海外に行ってくれたな。もし行かなければ話がややこしくなるところだった」
と言った。

 母も同意をしてうなずいた。
「まぁ行かなくても、私たちの顔とは違うことは一目瞭然だったでしょうけどね。それでも、すぐに疑いが晴れて良かったわね」


「うん。戻ったら一度会いにいくつもり。どういうふうにこの事件を受け止めているかを知りたいから。それにお葬式の日に良太君の日記を盗んだこともバレてないか少し心配なのよね」

 あの葬式の日、私は良太の部屋を見せてもらった。そして、あのノートを見つけたのだ。ご両親は怒り、悲しみ、嘆いた。私は逃げるように家を飛び出してしまった。いや、まぎれもなく逃げたのだ。自分がまた、同じ過ちを犯したことを呪った。