「そう」
母は遠くを見て微笑んでいた。
「お母さんたちには手を汚させてしまって申し訳ないと思ってる」
「それは何度も言ったでしょう、私たちが望んでやったことよ。苦しむ子どもを救うのは親の役目、ねぇお父さん」
母は父の方を見た。
「もちろんだよ。雄介だけじゃなく鈴木良太君も浮かばれるだろう。そして、私たちも少し気が晴れたんだよ。雄介の死を乗り越えるきっかけになった、と言ったら不純かもしれないが・・・」
母がうつむいてうなずく。
「他人には私たちの気持ちは分からないでしょう。遺族の残された悲しみや怒りは、けして時間とともに消えるものではない。むしろ、深くなる一方なの。雄介をいじめていた生徒も許せないけれど、良太君をいじめていた生徒も許せない。だから、私たちは望んであなたのお手伝いをしたの、親なら当然でしょう」
「お母さん・・・」
私は目頭が熱くなるのを感じた。
母は遠くを見て微笑んでいた。
「お母さんたちには手を汚させてしまって申し訳ないと思ってる」
「それは何度も言ったでしょう、私たちが望んでやったことよ。苦しむ子どもを救うのは親の役目、ねぇお父さん」
母は父の方を見た。
「もちろんだよ。雄介だけじゃなく鈴木良太君も浮かばれるだろう。そして、私たちも少し気が晴れたんだよ。雄介の死を乗り越えるきっかけになった、と言ったら不純かもしれないが・・・」
母がうつむいてうなずく。
「他人には私たちの気持ちは分からないでしょう。遺族の残された悲しみや怒りは、けして時間とともに消えるものではない。むしろ、深くなる一方なの。雄介をいじめていた生徒も許せないけれど、良太君をいじめていた生徒も許せない。だから、私たちは望んであなたのお手伝いをしたの、親なら当然でしょう」
「お母さん・・・」
私は目頭が熱くなるのを感じた。