「・・・」

「今回、たくさんの生徒さんからの証言をとりました。誰ひとりとしてあなたを責めていない。むしろ、皆があなたに隠れていじめをしていたことを深く後悔しています。そして、皆があなたを心から心配しているんです」

 鳥岡は涙をぬぐうこともせず、植園を見つめていた。

「だから、生きてください。この事件の犯人は私たちが必ず逮捕します。だから、先生はまずは身体を治して、そして生徒たちの心の傷を治すと約束してください」

「私に・・・できるのでしょうか?」

 
 植園は肩に置いた手を離し、立ち上がると言った。
「あなたが逃げたら、あなたも生徒も一生苦しむでしょう。立ち向かっても苦しむでしょう。同じ苦しみなら、先生なら・・・どちらを選びますか?」

 鳥岡は植園をしばらく見つめた後、鼻をすすった。




 そして静かに微笑むと、植園を見つめてうなずいた。