「どうして辞めるつもりだと・・・?」

「違いますか?」
そう植園が言うと、鳥岡は顔を伏せて泣き出した。

「私は・・・もう教師としてやっていく資格はないんです。いじめに気づけなかった。良太君が自殺するくらいつらいことも知らなかった。そんな・・・そんな私がっ・・・生徒の傷を癒すことなんてできるわけが」

「できるんです」

「え?」

 植園は鳥岡の肩に手を置いた。

「反省や後悔がある人ほど、人にやさしくなれます。二度とこんなことが起きないようにするには、先生が先生として皆の手助けをしてあげるんです」

「でも」

「誰も先生を責めていない」
植園は言った。