植園は鼻から息を吐き出すと、
「そうですか、いいんですよ。仕方ありません」
と微笑んだ。

「すみません」
鳥岡は恐縮していた。右腕に包帯が巻いてある。自殺未遂したときのものだろう。

「先生」

 植園の言葉に鳥岡が顔を上げた。


「生きてください。亡くなった生徒さんのためにも、生きてください」

「刑事さん・・・」

「今回の事件は悲しい事件です。生徒さんにはたくさんの心の傷をうえつけたことでしょう。もしかしたらそれこそが犯人の目的だったかもしれません。先生はこれから、生徒の心を治してあげてください。辞職はだめです」

 鳥岡は目を開いて植園をじっと見つめている。