鳥岡はギプスをはめて車椅子に乗っていた。

「だいぶ良いみたいですね」
植園が声をかけると、鳥岡は悲しく微笑んだ。

「先生のお話では2週間で傷口もふさがるし、リハビリも本格的開始できるそうです」

「そうですか」
植園は、部屋の窓のそばに行き、外を見た。木枯らしが強く、冬の景色が徐々に街に降りてきていた。

「今日はどういった?」
鳥岡が、読んでいた本をたたんで尋ねた。

「何度もお尋ねして申し訳ないのですが、またあの事件のことです。どうしても鳥岡先生にお尋ねしたいことがあって参りました」

 朝日が病室に降り注いでいた。

___ホテルの廊下より100倍明るく感じるな

 植園は不思議におだやかな気持ちだった。