吉沢がハッとして顔を上げた。
「中沢はひょっとしたら、葬式でのことを思い出したのではないでしょうか？葬式にいた鈴木良太の両親が、目の前にいる犯人たちの顔とは違うことに気づいたのではないでしょうか」

「葬式であれば、生徒が来なくても、生徒の親は顔くらいだすかもしれない。その中に犯人たちの顔を見たって可能性もあるわね」

「あやしいのは下川則子の両親ですね。本人は未だ行方も分かっていないし、共犯の可能性もある」
吉沢の語尾には力が入っていた。顔も上気している。

「でも、八木君は下川則子の両親の顔を見たことがあるけれど、犯人の顔とは違うと証言しているわよ」

「そんなの分かりませんよ。八木も共犯とか・・・」
言いながら、我ながら苦しいと思ったのか吉沢は頭をかいた。