植園はその写真を眺め、そして指で顔を軽くなぞりながら言った。
「中沢麻紀子だけが鈴木良太のお葬式に顔を出している、だから犯人たちも彼女だけは殺さないと告げた。それなのに、最後には射殺されている。これはどういうことなのかしら」

「八木潤からは、撃たれる前、中沢麻紀子は様子がおかしかったとの証言があります。心ここにあらずといった感じで『何かが変だ』と言った、と。そしてその言葉が犯人の男に聞かれてしまい、問い詰められた挙句に撃たれた・・・」

「男は最後に『残念や』と言ったのよね?つまり、『殺す予定はなかったけれど殺さざるをえなかった』という意味にもとれない?」

 吉沢は、ペンで頭をかきむしりながら悩むような顔をした。
「つまり、中沢が感じたという『何かしらの違和感』が犯人たちにとっては問題だったってことですかね」

「そう」植園は再び写真を見つめた。
「中沢がもった違和感は、おそらく犯人たちにとってはまずいものだった。もっと言えば鈴木良太の両親ではない、ということがばれる可能性があったってことかも」