「鈴木良太君の両親は釈放されたんですか？」
早足の植園に遅れまい、とついて行きながら問う。

「ええ。面通しで違う、と分かったし。もちろん他の生徒にも見てもらいましたが、それよりも彼らには確実なアリバイがあったのです」

「と、言うと？」

「彼らは逮捕された日に海外旅行から帰ってきたのです。いや、成田空港に到着したとたんに逮捕された、と言ったほうが正解かしら」

「・・・へぇ」
いぶかしげに言った潤を、植園が足を止めて振り返る。

「できすぎだと思いませんか？」

　潤は、黙って植園を見た。

　植園は腕を組んだまま、ため息をつくと、
「バスジャックがあった日にたまたま海外旅行に行っていた、そんな偶然私は信じられない」
とはき捨てるように言った。

「そうですね・・・」