「お待たせしてごめんなさい」
植園が駐車場出口から走ってきた。少し遅れて吉沢も駆けてくる。

「いえ、大丈夫です」

「本当にごめんなさい。この辺りの土地勘がなくって、迷っちゃったの」
息を切らして乾いた呼吸をしながら植園が言った。

「え?植園さんって愛知の生まれじゃないんですか?」

「そうなの」まだゼイゼイ言いながらも、植園は続ける。
「私と吉沢は、もともと東京の渋谷署に勤務していたのよ。最近転勤で来たものだから・・・いや、これは言い訳です」

 その言い方に潤は微笑んだ。刑事も人間、ってとこか・・・。

 院内に入ると、3人は歩き出した。今日は担任の鳥岡のお見舞いに行く予定で、それを植園に告げると「ぜひご一緒したい」と言われたのだった。潤にも聞きたいことがあるし、断る理由はなかった。