その時、フロアにスーツを着たふたり組が小走りに走ってきた。ふたりは、ソファに座る潤に気づくと、
「あぁ、良かった」
とホッとした顔を見せて近づいてきた。

「刑事さん」
そう言いながら潤は立ち上がった。植園とその部下の吉沢だった。

「どうも」
そう言いながら幸弘もつられて立ち上がった。潤と同じく部屋で事情聴取をされたのだろう。

「こんにちは。早速で悪いんですど、これから署に来てもらうことはできますか?」
冷静沈着なイメージと違い、植園は明らかにあせっていた。

 いぶかしげなふたりの視線に気づいたのだろう、植園は、
「吉沢君」
と、部下に発言を促した。

「はい」
吉沢はメモ帳を開くと、
「実は、先ほど連続殺人容疑で鈴木良太の両親が逮捕されたのです」
と言った。