幸弘は目をそむけた。見ていられない。

 鳥岡の声がしなくなった。あまりの痛みに気絶したのだろう。

 肩で何度も息をすると、女は則子に言った。

「さぁ、次の名前を言いなさい。良太をいちばんいじめていたのは誰なの?」

 則子はふてくされたような表情を見せた後、
「さぁ」
と言った。

 山本が悠然な動きで銃を向ける。則子のこめかみが震える。強がっていても、やはり恐怖を感じている証拠だ。

「死にたいならそれでかまわないけど」
女が口を添える。

「分かった、言うわよ」
先ほどより少しあせった声で則子は言った。