「できないです・・・できないです」

「だったらあなたが罪をかぶるの?」
銃口が茜をとらえた。引き金に手がかかる。

「いやぁぁぁ。違う、私じゃない!いちばんいじめていたのは私じゃないっ」

「だったら言うのよ!5秒待ってあげる。言えないなら容赦なく撃つ。5!」

「いやぁぁぁ」
気が狂ったかのように茜は両手で頭を押さえて叫んだ。

「4!」

「私じゃない、私じゃない!」

「3!」

「寺田亜矢子ぉぉ!!」

 悲痛な叫びに幸弘はとっさに寺田を探した。

「・・・何言ってるのよ・・・」
真後ろで声がした。振り向くと、驚くよりも怒りの形相に満ちた寺田亜矢子がそこにいた。