「八木君、移動お願い」
鳥岡が声をかけると、メガネをかけたいかにも学級長っぽいタイプの男子が、
「はい」
と返事をし、皆に移動開始を告げた。
佳織は入り口のそばに立ち、
「いらっしゃいませ」
とこけら落としよろしく、何度も頭を下げた。
余裕の笑みを浮かべているつもりだが、はたから見ればこっけいなほど緊張しているかもしれない。
紺のブレザーの集団が乗り込むと、知らずにため息がこぼれた。
「みんな決められた席に座ってくださいね」
学級長であろう八木の声も、生徒たちのはしゃぐ声に消えている。
「すげー、トイレついてる!」
「えー、そっちの席が良かったのにー」
一向に落ち着く気配のない生徒たちに、そろそろ佳織が声をかけようかと思ったその時、
「うるさーい!さっさと座れ、コラ!」
斜め前に立っていた担任の鳥岡の罵声がひびいた。
鳥岡が声をかけると、メガネをかけたいかにも学級長っぽいタイプの男子が、
「はい」
と返事をし、皆に移動開始を告げた。
佳織は入り口のそばに立ち、
「いらっしゃいませ」
とこけら落としよろしく、何度も頭を下げた。
余裕の笑みを浮かべているつもりだが、はたから見ればこっけいなほど緊張しているかもしれない。
紺のブレザーの集団が乗り込むと、知らずにため息がこぼれた。
「みんな決められた席に座ってくださいね」
学級長であろう八木の声も、生徒たちのはしゃぐ声に消えている。
「すげー、トイレついてる!」
「えー、そっちの席が良かったのにー」
一向に落ち着く気配のない生徒たちに、そろそろ佳織が声をかけようかと思ったその時、
「うるさーい!さっさと座れ、コラ!」
斜め前に立っていた担任の鳥岡の罵声がひびいた。