「お前、どうするつもり?」
ショウが鼻をすするフリをしながら言う。

 幸弘は女と山本を見た。

 幸弘には殺されない自信があった。隣のショウも同じだろう。


 何故なら幸弘とショウは鈴木良太のいじめには関わっていなかったからだ。クラスメイトがいじめていたのはもちろん知っていたが、彼らには興味がなかった。見て見ぬふりをした、と言われればそうかもしれないが、彼らには『テニス』という他に熱中するものがあったのだ。

 ふたりのテニスバカはクラスでも有名だったし、上背もある彼らをからかう者などいなかった。