女は感心したように、
「肝っ玉がすわっているのね。すごいわ」
と言うと、銃を撃った。立て続けに3発。

 胸のあたりを押さえて杉山が通路に倒れる。

 なぜか誰も悲鳴を上げなかった。もうこの環境にマヒしてきたのかもしれない。

 麻紀子も、大切なクラスメートが次々に倒れてゆく中、これが夢のような気持ちになっていた。現実が焦点のぼやけた世界に思えるのだ。

「次は森下か?」
山本が必死で頭をかかえて小さくなっている森下に銃口を向けた。森下は必死で首をふり続けている。嗚咽が止まらず息がうまく吸えていないのか苦しそうだ。

「それが、森下君の名前はノートに載っていないのよ」
女が残念そうに言った。