藤原も必死なのだろう、
「おまえらいつもつるんで鈴木をからかってたじゃないか。それは認めろよ」
と、つばをまき散らしながら叫んだ。

「俺はやってねぇ！」
「私も違うわよ！」

　叫びあう声がバス内に行きかう中、女が叫んだ。
「うるさい！だまれ！」

　途端に車内がシーンとする。藤原も名前を出されたふたりも驚いたように立ちすくんだ。

「あなたたちはそれでも人間なの？良太に対しての懺悔の気持ちすらないの？責任のなすりあいばかりして、だれかひとりくらい認めて後悔の言葉を口にすることすらできないの！？藤原君、どうなの？」

　指名された藤原の顔に狼狽したような表情が浮かんだ。

「良太に対して何か言いたいことがあるなら今おっしゃいなさい。あなたの言葉が、もしも私や夫に届いたなら殺さないであげるわ」