「だって……」


明らかに、誰かの助けが必要な状況だった。

そんな中、おばあさんはわたしたちに手を差し伸べてくれた。

だけどその手を、わたしは一度跳ね退けた。


見ず知らずの他人に、そんなことしてもらえるわけがない。

してもらってはいけない。


だって、自分でどうにかできるから。

できなくても、なんとかなるから。

自分でやらなきゃいけないから。


ひとりで、やらなくちゃ、いけないから。



そう思って、断った。


「誰かを頼るのは、いけないことだから。自分でやらなきゃ。だって……誰も……」


言おうとして、だけど言葉はでなかった。

何を言いたいのかは、自分でもよくわからなかった。


だけどなんとなくはやっぱりわかっていて、それが少しだけ、悲しかった。



「……誰かを頼るのって、いけないことなのか?」