部屋の中には、僅かな距離を空けて敷かれたふたつの布団があった。
わたしは左側に、朗は右側の布団に寝転ぶ。
その途端、体中の力が一気に抜けて、まるで布団の中に沈み込んでいくような感覚がした。
骨まで軋んだ体中、やっと、全身を休ませることができる。
このまま布団とくっついて、一生離れなきゃいいのに。
「もー、絶対明日筋肉痛だよ。嫌になるなあ」
すでにふくらはぎはパンパン。
明日、筋肉痛に襲われた状態でまた長い道のりを進まなければいけないと考えると、たまらなくうんざりする。
というか、こんな状態で明日も進めるのか。
進まなきゃ、いけないのか。
「明日は朗が漕いでよねー」
「だから俺自転車乗れないって言ってるだろ。漕いでやりたい気持ちはやまやまなんだけどな」
「ほんとかよ」
わたしはうつ伏せに寝て、頬を枕に押しつけ笑いながら、深く息を吐いた。