こんな早くにもう寝るのか、と思いつつも、自分にも睡魔が襲ってきていることに気付く。
そういえば今日は、こんな真夏日の中、1日中後ろに人間を乗せた自転車を漕ぎ続けてきたんだ。
むしろよく今まで気を失わなかったと自分で自分を褒めてあげたい。
「じゃあ、わたしたちも寝ます」
「うん。あなたたちのお布団は、隣の部屋に敷いておいたからね」
「はい、ありがとうございます」
わたしと朗は、同じ部屋で寝るらしい。
それって大丈夫なのか、と思ったけれど、余っている部屋はそれだけのようで、文句なんて言えるはずもない。
「ほら朗、寝るよ」
半袖のパジャマの上から、なぜかおばあさんの半纏を着ている朗の腕を引っ張った。
朗はだるそうにのそりと立ち上がり、ひらひらとおばあさんに手を振る。
「ばあちゃん、おやすみ」
「はい、おやすみー」
おばあさんがふすまの向こうへ消えていくのを見ながら、わたしたちも用意された部屋へ向かった。