おばあさんはわたしたちを見て、まるで悪戯っ子のようにくすりと笑う。


「知ってるよ。さっきそう言ってたもんね」

「じゃあ……」


どうしろって言うんだ。

そう思うわたしに、おばあさんは言い募る。


「だから、お金払う代わりに、寂しいおばあちゃんの家に泊って行って」


ね、とおばあさんは朗に目配せをして。


「……だって、夏海。どうする?」


朗はわたしを見上げたまま、目を細めて笑っている。


わたしは小さく息を吐き、空を仰いだ。

オレンジと藍色のグラデーション。


「……じゃあ、お願いします」


呟くと、ふたりとも嬉しそうに笑った。

つられてわたしも、へたくそに笑った。


太陽はもう、半分以上沈んでいた。