信じられない、まさか今まで一度もアイスを食べたことがないなんて。
一体どんな生活を送ってきたらそんなことになるんだろう。
わたしなんて、1日に4つ食べてた時だってあったのに。
「……もしかして朗の家って、すっごく貧乏だったりする?」
気は引けたし、とんでもないこと訊いてるなってことはわかっていたけど、それでも好奇心には勝てずに訊ねてみた。
だって、考えられるのはそれしかない。
それに朗は1円たりともお金を持ってなかったわけだし。
アイスを買えるほどのお金が家になかったと、そういうわけだろうか。
「んー……」
朗は少し考えるように俯いて。
「まあ、親は、割と金持ちかもしれない」
それからなんでもないことのように、さらっとそう言った。