この校舎の屋上は、「立ち入り禁止」に甘えているのか、転落防止のための柵が付いていない。
だけどもしかしたら近いうちに付けられるかもしれない、そう思いながら、わたしは屋上の縁に足を置いた。
真下は、何もないアスファルトだ。
グラウンドから裏門までの細い通りで、夏休みで人も多くないこのときに、ここを通る人はいない。
ここからあの地面まで、一体どれくらいの時間が掛かるんだろう。
きっと一瞬だけれど、テレビでよく聞く話を信じれば、もしかしたら長く感じるのかもしれない。
痛みもあるだろう、苦しいに決まってる。
だけどそれも、たった一瞬。
たった一瞬で、何もかもが、終わるんだ。
わたしを一番に見つける人は誰だろう。
きっと驚くし、ショックも受けるはずだ。
たぶん、すごく迷惑を掛けてしまうと思うんだけれど、どうか、許してほしい。