「え……?」
唐突な質問に言葉を詰まらせると、朗は「どうなんだ」と低く呟き、さらに顔を近づけた。
そのせいかどうか知らないけど、なんだかうまく働かない思考の中。
「の、乗れるけど……いちおう……」
家から学校までは、いつも自転車で登校していた。
今日もここまで、いつもと同じように、いつもと同じ道を通って、その自転車でやってきたから。
わたしの自転車はいつも通り、学校の駐輪場に停めてある。
「すぐそこにわたしの自転車、あるし……」
そろっと指で駐輪場の方向を差すと、朗はつられてそちらに目を向けた。
「そうか、ならいい」
それからゆるりと微笑んで、再びわたしの手を取り歩きだす。
わたしは彼の冷たい手に引かれながら、必死で頭を働かせていた。
戸惑いながらも、頭の中は、徐々に冷静になっていく。
そして気付く。