その日は、雲ひとつない晴天だった。
高い場所にある太陽が照らす空は、心が止まってしまうくらいに綺麗で。
どこまでも澄んで青いそれは、まるで夢の景色のように、俺には見えた。
そう、ずっと望んでいた。
遥かな、青い景色のように。
もっと、もっと、近付きたくて。
見つけた梯子から、さらに高い場所へ上った。
だけどまだ、届かなくて。
そもそもそれは、届くようなものではない。
どれだけ高い場所へ上っても、背伸びをして、手を伸ばしても。
俺には、届かないものだ。
たとえ届いたとしても、それは俺が本当に望んでいるものじゃ、ないんだけれど。
梯子を上ったせいで疲れたから、その場に座って少し休んだ。
夏の太陽はとても近いから、眩しいけれど、ぬくもりは心地良い。
のんびりと、ゆっくりと。
こうして過ぎていく時間を、いつまでも楽しめたら。
そんなことを、思っていた時だった。
さっき、俺が入ってきた扉が開き、誰かが、この屋上へ出てきた。