太陽は、少し見上げれば目に映る位置にまで落ちてきている。

あんなに熱かった空気も、心なしか涼しくなったみたいだ。


わたしは腰を浮かして、全体重をペダルに掛けた。

ぐんと車輪は加速して、一層速く前へ進む。


だけど、もっと、もっと。


その気持ちだけで、わたしは足を強く踏み込む。



時間がない、早く行かなきゃ。


心臓はドクドク鼓動を刻み、肺は今にも破れそう。

治りきっていない筋肉痛が、動くたびに微かに痛む。

それでも休んでる暇なんてないから。


急いでいかなきゃ、いけないから。