朗の父親は、唇をきつく結んだままわたしを見つめていた。
しかし、やがてひとつ呼吸をすると、わたしから視線を逸らし、囁くような声で言った。
「あの子は今、病院で静かに眠っている。今回はなんとか助かったが、いつそのまま目を覚まさなくなってもおかしくない状態なんだ。
大人しく寝ていれば、こんな風に苦しまずに済んだのに……私には、あの子が何を考えているのかわからないよ」
ゆっくりと、わたしに視線を戻して。
そして交わった瞳が驚くほどに柔らかかったから、ああ、やっぱりどこか朗と似ているな、なんて、どうでもいいことを考えた。
吐き出された呼吸には、今は何が込められているのか。
「あなたには、わかるのだろうか。あの子の、気持ちが……」
目を細め、絞り出したその声は掠れていて。
わたしはそれに応えることができず、だけど真っ直ぐに見つめた視線だけは、逸らすことはしなかった。